つかさの自由帳

140文字では伝えきれないこと:自由について本気出して考えてみた


【書評】橘玲著:幸福の「資本」論――あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」

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ぶっちゃけ橘玲ファンであればほとんど目新しいものはないけれど、それでもやはり読む価値があると思うのは「幸福」というテーマで今までの著者の主張を美しく束ねているからだ。

 

身も蓋もない話をすれば、僕たちの人生は3つの資本(=資産)に委ねられている。すなわち金融資産と社会資本、そして人的資本だ。これら三つの資本はそれぞれ「自由」と「人間関係」、そして「やりがい」という幸福の構成要素と密接に結びついている。

 

1.金融資産=自由

2.社会資本=人間関係

3.人的資本=やりがい

 

金融資産が自由を生み出すというのは少し説明が必要かもしれない。例えば唐突に明日北海道にカニを食べに行きたいと思ったとしてもお金があれば飛行機のチケットを手配して、札幌まで数時間足らずで行ける。僕たちは移動の自由とカニを食べる自由をお金によって手に入れられる。もっと言ってしまえば古代ローマの奴隷は、自分をお金で買い戻し自由になったとされるけれども、現代では生涯賃金ほどのお金があればサラリーマンは会社から自分の時間を買い戻し自由になることができる。

 

ただし「自由」は幸せの基礎になるけれど、それだけでは不十分だ。老後を孤独に過ごす資産家が幸せだと思えないのは「人間関係」と「やりがい」という幸せに必要な二つの要素が欠けているからだ。マイルドヤンキーが貧しくとも幸せそうに見えるのは、社会資本である人間関係が充実しているからに他ならない。もちろん彼らのことをぬるま湯の人間関係に浸る井の中の蛙だって笑う人もいるかもしれない。でも僕は大海を知ることが必ずしも幸せではないと思う。

 

さて本書で最も胸に響いたのが「人的資本」すなわち「やりがい」はどこにあるのか、という話だ。著者は今までの著作で「金融資産」を築く方法を示し、詳述は省くが本書では「社会資本」も「お金」によって代替可能であるということが明かされた。

 

しかし「やりがい」というのは難しい。「やりがい」は以前のブログでも書いた通り、好きなことをしつつ生産的な活動をするというものだ。好きでも非生産的な活動は「快楽的な消費」に過ぎないし、生産的でも嫌な活動は「やりがい」ではなく「努力」と言える。だから僕たちはやりがいを得るために「生産的」かつ「好き」な活動をする必要がある。

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幸い、今はYoutubeやブログなんかを通して「好き」をマネタイズし生産的なものに変える方法はいくらでも溢れているし、実際そういう風に生きる人も増えてきた。ホリエモンも「好きなことをして生きろ」と言うし、僕もこの考え方には全面的に同意する。でも多くの凡人にとって自分の「好き」を見つけるのが一番難しいというのが現実ではないだろうか。

 

しかし本書はそこからさらにもう一歩踏み込み、この「好き」を見つけるヒントを僕たちに与えてくれている。僕はメルマガで初めてこの言説に触れたが、かなりエポックメイキングだったのでとても印象に残っている。そのエッセンスを一言で表すと「本当の自分は過去にいる」ということだ。

 

もちろん子供の頃の夢が自分の「好き」という陳腐な話ではない、大事なのは子供の頃の「キャラ」だ。あまり多くを書きすぎるとネタバレになってしまうのでここまでにしておくけれども、今の生き方に悩んでいる人がいたら是非本書を手に取って読んで欲しい。「自分探し」の旅の終着点はインドや東南アジアなんかではなく、自らの過去にこそあるのだ。

橘玲著:幸福の「資本」論――あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」